国際経営戦略研究所公式ブログ

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ビジネス・デューデリジェンスその2

第4章 事業構造分析
競争力の源泉になっているのは次の2点であると考えられる。
1点目:高度な技術力
2点目:きめ細やかなサービス
3点目:高い利用者の利便性
次に、1~3点において具体的に示していきたい。
(1)高度な技術力
情報通信においてサービス(システム)の開発や保守・管理には極めて高度
な技術力を必要とする。特に、少数での運営においては、フロントエンドやバ
ックエンドをはじめとした人員を揃えることが困難である。
しかし、フルスタックエンジニア(フロントエンドもバックエンドも対応で
き様々な言語対応可)が構成員にいるため、少人数でありながら様々な対応及
びサービスの開発が可能である点が貴社の強みであると考えられる。
(2)きめ細やかなサービス

また、大規模事業者とは異なり、中小企業ならではの個別の事情に応じた柔
軟できめ細やかなサービスを提供できていることも大きい。また、即応性につ
いても評価できると考えている。


(3)高い利用者の利便性
利用者とのコミュニケーションや決済の手段やUIを初めとして、真にユ
ーザーのことを考えたサービスを提供している点も大きいと考えられる。
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第5章 シナジー効果
シナジー効果の概要は次の通りである。売上におけるシナジー効果、コスト
におけるシナジー効果、総合的なシナジー効果、ディスシナジー効果の順に示
していく。
(1)売上におけるシナジー効果
・ノウハウの共有
・クロスセリングの実施
(2)コストにおけるシナジー効果

・二重での様々な契約が一本化可能になることでコストが削減される
・人件費等の効率化
・拠点の集約
(3)総合的なシナジー効果
・顧客情報網の共有
・新事業分野(情報通信以外)への進出
(4)ディスシナジー
・経営者の流出等
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第6章 アクションプラン策定
これまでの第5章までを考慮し、アクションプランを策定する。
競争優位性の確保においては、トレードオフは原理原則4であり、小規模事業
者であるため、いかに差別化を図るかを決定する必要がある。
そこで、SWOT分析5を行いつつ、とりわけ、「強み」と「機会」の重なる
分野へ重点的に資源を投入する必要がある。
表7で貴社のSWOT分析を示す。
表7
S(強み) W(弱み)
・高い技術力
・きめ細やかなサービス
・利用者の利便性の真の追求
・人員不足
・資金不足
O(機会) T(脅威)
・若者を中心(中年層にも浸透しつ
つある)とするSNS等の利用増加
イノベーションによる安価なインタ
ーネットサービスの利用が可能
・大企業の大規模サービス
・新規参入者

4 マイケル・ポーターも同趣旨の見解。
5 SWOT分析とは、自社を取巻く周辺環境を分析し、「好影響⇆悪影響」と「内部環境⇆
外部環境」n2軸で構成される。SWOTは、「強み(Strength)」、「弱み
(Weaknesses)」、「機会(Opportunities)」、「脅威(Threats)」の頭文字のことである。
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上記を踏まえると、今後は次の5つのアクションプランをとることが最適で
あると考える。
1高い技術力を武器に安価ではあるが、AWS(クラウドプラットフォーム:
Amazon Web Services)等の高度なサービスを使いこなすこと(試験的なAI
ボット等の導入も要検討)
(技術により、大手事業者との料金等の面での差を縮めることができるた
め)
2顧客本位のためUIや決済手段に加え、万全な保守・管理体制を築くこと
(操作に詳しくない顧客においても直感的な操作性が求められるため。ま
た、安定的なサービスを提供するため)
3広告費は可能な限り削減することで安価な料金でサービス提供を実施
(大企業と同様な広告宣伝にかける資金はなく、また、それをしないことで
安価なサービス提供が可能になるため)
4若年層やベンチャー企業等を対象にすること
(そもそも、IT企業の経営者等は若く、ITに親しみをもつ層は若年層が
多いため)
5総合的なサービス面において特色あるものにし、革新的なサービスを提供す
ること
(既存の機能であっても、組み合わせることで新たなサービスが生まれるた
め)
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おわりに
おわりにでは、第1章~第6章のまとめを行いたい。なお、資料に関しても
参照してほしい。
第1章
BDDの代表的な種類
表8
①マクロ環境分析
②競合構造分析
③事業構造分析
④スタンド・アーロン分析
⑤事業計画分析
第2章
PEST分析の概要
表9
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P:政治 政府による情報通信産業への様々な後押し
E:経済 ・同感染症による経済状況の悪化
S:社会 ・ITが必要不可欠という意識
・SNS等インターネットに対して若者を中心に敏感に対

T:技術 ・スマートフォン/IOT/AI等によりビジネスも変化
第3章
表6再掲
表6
(情報通信・SNS等の分野におけるファイブ・フォース分析)
①買い手の交渉

サービス利用者は品質及び料金により選択を行
う。
②売り手の交渉

サーバー(クラウド)運用に関する高度な技術やそ
れを運用できるIT技術者の人件費が高騰してい
る。
③業界内の競争 大小様々な事業者が存在し、増加傾向にある。
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④代替品の脅威 無料のサービスをはじめとした異なるビジネスモ
デルの事業者も存在している。
⑤新規参入の脅

新規参入は極めて多い。

 


第4章
重要な競合優位性がある要素は次の3点である。
1点目:高度な技術力
2点目:きめ細やかなサービス
3点目:高い利用者の利便性
第5章
シナジーには売上におけるシナジー効果、コストにおけるシナジー効果、総
合的なシナジー効果、ディスシナジー効果が存在する。
第6章
5つのアクションプラン
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高い技術力で安価な価格を実現
UI/決済手段/安定的な運営
広告宣伝費は最小限に
若者・ベンチャー企業等を対象に
既存機能の組み合わせによる革新的なサービスの実現