国際経営戦略研究所公式ブログ

国際経営戦略研究所公式ブログです。当研究所では、社会科学から不動産・文化・教育に至るまで幅広い研究を行っています。

ブランディングについての報告書

本報告書の5つの重要ポイントは次の通りである。
■1
現代マーケティングにおいて、ブランドとは製品・サービスを通して顧
客に提供する価値のシンボルである。
■2
ブランド戦略は①ライン拡張:バリエーション②ブランド拡張③マルチ
ブランド④ブランド開発の4つの戦略がある。
■3
強いブランドは、マーケティング投資の効率が高いことに加え、競争力
もある。そのため、事業者にとって極めて重要な無形資産といえる。
■4
ブランディング戦略においてマーケティング、特に、デジタル・マーケ
ティングの重要性が増している。
5
■5
デジタル・マーケティングの様々な媒体のミックスよるマーケティン
グ・ミックス及びマルチ・チャネルによる広告宣伝が最先端マーケティ
ングである。さらに、ブランディング・プロポジション(ブランドの「目指
すべき姿」)の展開のための必要不可欠な要素(例えば、サービス・空
間・行動・コミュニケーション)である。

 

ブランディングとは?
まず、「ブランド」とは、「常に変化するビジネスアセット(資産)」と定義され
る。
これは、様々な活動を通じ、「認識性」、「差別性」、「価値」を創出するものであ
る。
したがって、「ブランディング」とは、あらゆるビジネス活動をマネジメントし、
ビジネスアセットであるブランド価値を最大化することを目指す活動である。
換言すれば、顧客の頭の中にある「認識」を意図した方向へ導くことによ
り、「ごひいき」といった付加価値を生み出すことを目的に、全てのビジネス
プロセスを丁寧にマネジメントしていく活動といえる。

ブランディング戦略で得られるものとは?

高い価値を持つブランドは、企業活動に多くのメリットをもたらし、長期的な
利益の源泉となる。
具体的にいえば、主に次の点である。
1品質や信頼性等の「保証」としての価値が蓄積される

2顧客の「選好性」がうまれ、ロイヤルティが醸成

1,2の結果として、単純な価格競争に巻き込まれることなく収益の向上をも
たらす。
なお、ブランドは無形資産であるが、Ocean Tomo,LLC/2015 によれば、米国
S&P500の株式時価総額に占める無形資産と有形資産の構成比は、197
5年の17%から、2015年には、84%へ増加していることがわかる。

ブランドの多角化について

コスト削減・規模の利益を享受し、新ブランドにより成功確率があがる一方
で、ブランド・アイデンティティの希薄化を招く恐れあり。そこで、既存のブ
ランド・イメージと整合性の考慮が必要。

下記の表1で示す特徴は次の通りである。
表1
ブランディングの戦略の例

既存ブランド 新ブランド

既存
製品
①ライン拡張:同一カテゴリー
内容のバリエーションに対して
同ブランド名を用い用いる。
③マルチブランド
新製

②ブランド拡張 ④ブランド開発
次の表は、ブランド・プロポジションの展開例である。

表2
ブランド・プロポジションの展開例
プロダクト及びサービス 人々と行動
・アイテム
・デザイン
・接客
・スピーチ
セミナー等

空間と環境のチャネル コミュニケーション
・サイトデザイン
・店舗デザイン
・広告
・イベント
9
・イベントブース等 ・Web
・SNS


世界のブランドランキング
下記の表3現在は、ある程度変動しているといえそうだが、一部で例外はあ
るものの、概ね時価総額との相関関係はあるといえそうである。

表3
Best Global Brands 2016
1位 Apple
2位 Google(現 Alphabet)
3位 Coca-Cola
4位 Microsoft
10
5位 Toyota
6位 IBM
7位 Samsung
8位 Amazon
9位 Mercedes0Benz
10位 GE


マーケティングからみたブランディング戦略の概要

マーケティングにおいて、顧客の購買意思決定は、認知、検討、行動、推奨
である。
ブランディング戦略は、認知、検討、行動、推奨の全ての面で大きくプラス
に働く。
一方で、マーケティングのやり方によって、ある程度ブランド自体を形成す
ることも可能である。

第4章:現代ブランディング戦略の中心-デジタ
ル・マーケティング等の観点から-

デジタル・マーケティングとは・・・

前提として、共有する「情報の量」(リーチ)と「内容の濃さ」(リッチネ
ス)は二律背反の関係にある。
しかし、デジタル社空きになり、SNS により大きく変容した。リーチとリッ
チネスの両立が可能になった。これにより、マーケティングが大きく変容する
ことになる。
これには、インターネットと情報端末が普及したことが大きい。
リアル社会では、情報とモノが一体化していたが、デジタル社会にあって
は、情報とモノが分離することにより、リーチとリッチネスのトレードオフ
解消する。
デジタル社会のリーチ及びリッチネスの拡大の例として、「ロングテール
象」があげられる。リーチが拡大することで幅広い商品から顧客に最適な推奨
をすることができ、リッチネスも高めることがあげられる。
このように、デジタル・マーケティングとは、デジタル社会の到来により、
リーチとリッチネスのトレードオフが解決することにより、マーケティング
大きく変貌するということである。



デジタル・マーケティングの主流

■大規模事業者が実施している主流のデジタル・マーケテ
ィング

SNS等の利用及び様々な媒体(メルマガ、自社サイト、スマホアプリ、リス
ティング広告、口コミサイト等)との連携

■具体的な小規模事業者への適用
小規模事業者が可能なデジタル・マーケティング

・小規模事業者に限っていえば、スマホアプリの作成は費用対効果の面から疑

・ホームページは必須

リスティング広告も悪くはないが、ホームページや SNS の連携を踏まえ、ネ
ット上での記事作成が効果的


・口コミサイト等に関しては、特に、小規模事業者の場合に重要であるといえ
る。その理由は、貴所自体のブランディングにおいて、第三者(利用者)から
の評価が大きいためである。

・教えることに特化したマッチングサイト等の利用も効果的

 

 マーケティング・ミックスとは、伝統的なマーケティングでは、STP(セグメ
ンテーション:分類、ターゲティング:優位性のある対象の絞り込み、ポジシ
ョニング:独自の立ち位置の確立)を決めたら、次にマーケティング・ミック
スを計画・実行することが定石である。
同様に、マーケティング・ミックスにおいても、ターゲット顧客に何を
(Product=製品)、どのように(Price=価格、Place=チャネル、Promotion=プ
ロモーション)提供するかを計画ツールであり、4つの P が最適に設計され、
一貫性が取れていることである。
製品戦略においては、モノのデジタル化がカギとなる。価格戦略では、標準
価格設定から、時期や顧客に対応したダイナミック・プライシング(動的価格
設定)が重要である。この一例として、飛行機やホテルの需給による価格変動
があげられる。
プロモーション戦略では、メディアでの広告だけではなく、ネットでの情報
発信がカギであり、小規模事業者においては後者をとる。
大企業であるが、この一例として、無印良品は、店舗陳列、POP、カタログ
だけではなく、自社サイトやメルマガ、SNS,スマホアプリなどの多様な媒体を
通して情報発信を行っている。

それから、拡張戦略を確認する。マーケティング・ミックスにおいては、4
C が重要になる。
このマーケティング・ミックスにおける4C とは協創(Co-creation)、通貨
(Currency)、協働活性化(Communal activation)、会話(Conversation)である。