国際経営戦略研究所公式ブログ

国際経営戦略研究所公式ブログです。当研究所では、社会科学から不動産・文化・教育に至るまで幅広い研究を行っています。

ブランディングについての報告書

本報告書の5つの重要ポイントは次の通りである。
■1
現代マーケティングにおいて、ブランドとは製品・サービスを通して顧
客に提供する価値のシンボルである。
■2
ブランド戦略は①ライン拡張:バリエーション②ブランド拡張③マルチ
ブランド④ブランド開発の4つの戦略がある。
■3
強いブランドは、マーケティング投資の効率が高いことに加え、競争力
もある。そのため、事業者にとって極めて重要な無形資産といえる。
■4
ブランディング戦略においてマーケティング、特に、デジタル・マーケ
ティングの重要性が増している。
5
■5
デジタル・マーケティングの様々な媒体のミックスよるマーケティン
グ・ミックス及びマルチ・チャネルによる広告宣伝が最先端マーケティ
ングである。さらに、ブランディング・プロポジション(ブランドの「目指
すべき姿」)の展開のための必要不可欠な要素(例えば、サービス・空
間・行動・コミュニケーション)である。

 

ブランディングとは?
まず、「ブランド」とは、「常に変化するビジネスアセット(資産)」と定義され
る。
これは、様々な活動を通じ、「認識性」、「差別性」、「価値」を創出するものであ
る。
したがって、「ブランディング」とは、あらゆるビジネス活動をマネジメントし、
ビジネスアセットであるブランド価値を最大化することを目指す活動である。
換言すれば、顧客の頭の中にある「認識」を意図した方向へ導くことによ
り、「ごひいき」といった付加価値を生み出すことを目的に、全てのビジネス
プロセスを丁寧にマネジメントしていく活動といえる。

ブランディング戦略で得られるものとは?

高い価値を持つブランドは、企業活動に多くのメリットをもたらし、長期的な
利益の源泉となる。
具体的にいえば、主に次の点である。
1品質や信頼性等の「保証」としての価値が蓄積される

2顧客の「選好性」がうまれ、ロイヤルティが醸成

1,2の結果として、単純な価格競争に巻き込まれることなく収益の向上をも
たらす。
なお、ブランドは無形資産であるが、Ocean Tomo,LLC/2015 によれば、米国
S&P500の株式時価総額に占める無形資産と有形資産の構成比は、197
5年の17%から、2015年には、84%へ増加していることがわかる。

ブランドの多角化について

コスト削減・規模の利益を享受し、新ブランドにより成功確率があがる一方
で、ブランド・アイデンティティの希薄化を招く恐れあり。そこで、既存のブ
ランド・イメージと整合性の考慮が必要。

下記の表1で示す特徴は次の通りである。
表1
ブランディングの戦略の例

既存ブランド 新ブランド

既存
製品
①ライン拡張:同一カテゴリー
内容のバリエーションに対して
同ブランド名を用い用いる。
③マルチブランド
新製

②ブランド拡張 ④ブランド開発
次の表は、ブランド・プロポジションの展開例である。

表2
ブランド・プロポジションの展開例
プロダクト及びサービス 人々と行動
・アイテム
・デザイン
・接客
・スピーチ
セミナー等

空間と環境のチャネル コミュニケーション
・サイトデザイン
・店舗デザイン
・広告
・イベント
9
・イベントブース等 ・Web
・SNS


世界のブランドランキング
下記の表3現在は、ある程度変動しているといえそうだが、一部で例外はあ
るものの、概ね時価総額との相関関係はあるといえそうである。

表3
Best Global Brands 2016
1位 Apple
2位 Google(現 Alphabet)
3位 Coca-Cola
4位 Microsoft
10
5位 Toyota
6位 IBM
7位 Samsung
8位 Amazon
9位 Mercedes0Benz
10位 GE


マーケティングからみたブランディング戦略の概要

マーケティングにおいて、顧客の購買意思決定は、認知、検討、行動、推奨
である。
ブランディング戦略は、認知、検討、行動、推奨の全ての面で大きくプラス
に働く。
一方で、マーケティングのやり方によって、ある程度ブランド自体を形成す
ることも可能である。

第4章:現代ブランディング戦略の中心-デジタ
ル・マーケティング等の観点から-

デジタル・マーケティングとは・・・

前提として、共有する「情報の量」(リーチ)と「内容の濃さ」(リッチネ
ス)は二律背反の関係にある。
しかし、デジタル社空きになり、SNS により大きく変容した。リーチとリッ
チネスの両立が可能になった。これにより、マーケティングが大きく変容する
ことになる。
これには、インターネットと情報端末が普及したことが大きい。
リアル社会では、情報とモノが一体化していたが、デジタル社会にあって
は、情報とモノが分離することにより、リーチとリッチネスのトレードオフ
解消する。
デジタル社会のリーチ及びリッチネスの拡大の例として、「ロングテール
象」があげられる。リーチが拡大することで幅広い商品から顧客に最適な推奨
をすることができ、リッチネスも高めることがあげられる。
このように、デジタル・マーケティングとは、デジタル社会の到来により、
リーチとリッチネスのトレードオフが解決することにより、マーケティング
大きく変貌するということである。



デジタル・マーケティングの主流

■大規模事業者が実施している主流のデジタル・マーケテ
ィング

SNS等の利用及び様々な媒体(メルマガ、自社サイト、スマホアプリ、リス
ティング広告、口コミサイト等)との連携

■具体的な小規模事業者への適用
小規模事業者が可能なデジタル・マーケティング

・小規模事業者に限っていえば、スマホアプリの作成は費用対効果の面から疑

・ホームページは必須

リスティング広告も悪くはないが、ホームページや SNS の連携を踏まえ、ネ
ット上での記事作成が効果的


・口コミサイト等に関しては、特に、小規模事業者の場合に重要であるといえ
る。その理由は、貴所自体のブランディングにおいて、第三者(利用者)から
の評価が大きいためである。

・教えることに特化したマッチングサイト等の利用も効果的

 

 マーケティング・ミックスとは、伝統的なマーケティングでは、STP(セグメ
ンテーション:分類、ターゲティング:優位性のある対象の絞り込み、ポジシ
ョニング:独自の立ち位置の確立)を決めたら、次にマーケティング・ミック
スを計画・実行することが定石である。
同様に、マーケティング・ミックスにおいても、ターゲット顧客に何を
(Product=製品)、どのように(Price=価格、Place=チャネル、Promotion=プ
ロモーション)提供するかを計画ツールであり、4つの P が最適に設計され、
一貫性が取れていることである。
製品戦略においては、モノのデジタル化がカギとなる。価格戦略では、標準
価格設定から、時期や顧客に対応したダイナミック・プライシング(動的価格
設定)が重要である。この一例として、飛行機やホテルの需給による価格変動
があげられる。
プロモーション戦略では、メディアでの広告だけではなく、ネットでの情報
発信がカギであり、小規模事業者においては後者をとる。
大企業であるが、この一例として、無印良品は、店舗陳列、POP、カタログ
だけではなく、自社サイトやメルマガ、SNS,スマホアプリなどの多様な媒体を
通して情報発信を行っている。

それから、拡張戦略を確認する。マーケティング・ミックスにおいては、4
C が重要になる。
このマーケティング・ミックスにおける4C とは協創(Co-creation)、通貨
(Currency)、協働活性化(Communal activation)、会話(Conversation)である。

 

 

ブランディングについての報告書

本報告書の5つの重要ポイントは次の通りである。
■1
現代マーケティングにおいて、ブランドとは製品・サービスを通して顧
客に提供する価値のシンボルである。
■2
ブランド戦略は①ライン拡張:バリエーション②ブランド拡張③マルチ
ブランド④ブランド開発の4つの戦略がある。
■3
強いブランドは、マーケティング投資の効率が高いことに加え、競争力
もある。そのため、事業者にとって極めて重要な無形資産といえる。
■4
ブランディング戦略においてマーケティング、特に、デジタル・マーケ
ティングの重要性が増している。
5
■5
デジタル・マーケティングの様々な媒体のミックスよるマーケティン
グ・ミックス及びマルチ・チャネルによる広告宣伝が最先端マーケティ
ングである。さらに、ブランディング・プロポジション(ブランドの「目指
すべき姿」)の展開のための必要不可欠な要素(例えば、サービス・空
間・行動・コミュニケーション)である。

 

ブランディングとは?
まず、「ブランド」とは、「常に変化するビジネスアセット(資産)」と定義され
る。
これは、様々な活動を通じ、「認識性」、「差別性」、「価値」を創出するものであ
る。
したがって、「ブランディング」とは、あらゆるビジネス活動をマネジメントし、
ビジネスアセットであるブランド価値を最大化することを目指す活動である。
換言すれば、顧客の頭の中にある「認識」を意図した方向へ導くことによ
り、「ごひいき」といった付加価値を生み出すことを目的に、全てのビジネス
プロセスを丁寧にマネジメントしていく活動といえる。

ブランディング戦略で得られるものとは?

高い価値を持つブランドは、企業活動に多くのメリットをもたらし、長期的な
利益の源泉となる。
具体的にいえば、主に次の点である。
1品質や信頼性等の「保証」としての価値が蓄積される

2顧客の「選好性」がうまれ、ロイヤルティが醸成

1,2の結果として、単純な価格競争に巻き込まれることなく収益の向上をも
たらす。
なお、ブランドは無形資産であるが、Ocean Tomo,LLC/2015 によれば、米国
S&P500の株式時価総額に占める無形資産と有形資産の構成比は、197
5年の17%から、2015年には、84%へ増加していることがわかる。

ブランドの多角化について

コスト削減・規模の利益を享受し、新ブランドにより成功確率があがる一方
で、ブランド・アイデンティティの希薄化を招く恐れあり。そこで、既存のブ
ランド・イメージと整合性の考慮が必要。

下記の表1で示す特徴は次の通りである。
表1
ブランディングの戦略の例

既存ブランド 新ブランド

既存
製品
①ライン拡張:同一カテゴリー
内容のバリエーションに対して
同ブランド名を用い用いる。
③マルチブランド
新製

②ブランド拡張 ④ブランド開発
次の表は、ブランド・プロポジションの展開例である。

表2
ブランド・プロポジションの展開例
プロダクト及びサービス 人々と行動
・アイテム
・デザイン
・接客
・スピーチ
セミナー等

空間と環境のチャネル コミュニケーション
・サイトデザイン
・店舗デザイン
・広告
・イベント
9
・イベントブース等 ・Web
・SNS


世界のブランドランキング
下記の表3現在は、ある程度変動しているといえそうだが、一部で例外はあ
るものの、概ね時価総額との相関関係はあるといえそうである。

表3
Best Global Brands 2016
1位 Apple
2位 Google(現 Alphabet)
3位 Coca-Cola
4位 Microsoft
10
5位 Toyota
6位 IBM
7位 Samsung
8位 Amazon
9位 Mercedes0Benz
10位 GE


マーケティングからみたブランディング戦略の概要

マーケティングにおいて、顧客の購買意思決定は、認知、検討、行動、推奨
である。
ブランディング戦略は、認知、検討、行動、推奨の全ての面で大きくプラス
に働く。
一方で、マーケティングのやり方によって、ある程度ブランド自体を形成す
ることも可能である。

第4章:現代ブランディング戦略の中心-デジタ
ル・マーケティング等の観点から-

デジタル・マーケティングとは・・・

前提として、共有する「情報の量」(リーチ)と「内容の濃さ」(リッチネ
ス)は二律背反の関係にある。
しかし、デジタル社空きになり、SNS により大きく変容した。リーチとリッ
チネスの両立が可能になった。これにより、マーケティングが大きく変容する
ことになる。
これには、インターネットと情報端末が普及したことが大きい。
リアル社会では、情報とモノが一体化していたが、デジタル社会にあって
は、情報とモノが分離することにより、リーチとリッチネスのトレードオフ
解消する。
デジタル社会のリーチ及びリッチネスの拡大の例として、「ロングテール
象」があげられる。リーチが拡大することで幅広い商品から顧客に最適な推奨
をすることができ、リッチネスも高めることがあげられる。
このように、デジタル・マーケティングとは、デジタル社会の到来により、
リーチとリッチネスのトレードオフが解決することにより、マーケティング
大きく変貌するということである。



デジタル・マーケティングの主流

■大規模事業者が実施している主流のデジタル・マーケテ
ィング

SNS等の利用及び様々な媒体(メルマガ、自社サイト、スマホアプリ、リス
ティング広告、口コミサイト等)との連携

■具体的な小規模事業者への適用
小規模事業者が可能なデジタル・マーケティング

・小規模事業者に限っていえば、スマホアプリの作成は費用対効果の面から疑

・ホームページは必須

リスティング広告も悪くはないが、ホームページや SNS の連携を踏まえ、ネ
ット上での記事作成が効果的


・口コミサイト等に関しては、特に、小規模事業者の場合に重要であるといえ
る。その理由は、貴所自体のブランディングにおいて、第三者(利用者)から
の評価が大きいためである。

・教えることに特化したマッチングサイト等の利用も効果的

 

 マーケティング・ミックスとは、伝統的なマーケティングでは、STP(セグメ
ンテーション:分類、ターゲティング:優位性のある対象の絞り込み、ポジシ
ョニング:独自の立ち位置の確立)を決めたら、次にマーケティング・ミック
スを計画・実行することが定石である。
同様に、マーケティング・ミックスにおいても、ターゲット顧客に何を
(Product=製品)、どのように(Price=価格、Place=チャネル、Promotion=プ
ロモーション)提供するかを計画ツールであり、4つの P が最適に設計され、
一貫性が取れていることである。
製品戦略においては、モノのデジタル化がカギとなる。価格戦略では、標準
価格設定から、時期や顧客に対応したダイナミック・プライシング(動的価格
設定)が重要である。この一例として、飛行機やホテルの需給による価格変動
があげられる。
プロモーション戦略では、メディアでの広告だけではなく、ネットでの情報
発信がカギであり、小規模事業者においては後者をとる。
大企業であるが、この一例として、無印良品は、店舗陳列、POP、カタログ
だけではなく、自社サイトやメルマガ、SNS,スマホアプリなどの多様な媒体を
通して情報発信を行っている。

それから、拡張戦略を確認する。マーケティング・ミックスにおいては、4
C が重要になる。
このマーケティング・ミックスにおける4C とは協創(Co-creation)、通貨
(Currency)、協働活性化(Communal activation)、会話(Conversation)である。

 

 

ビジネス・デューデリジェンスその2

第4章 事業構造分析
競争力の源泉になっているのは次の2点であると考えられる。
1点目:高度な技術力
2点目:きめ細やかなサービス
3点目:高い利用者の利便性
次に、1~3点において具体的に示していきたい。
(1)高度な技術力
情報通信においてサービス(システム)の開発や保守・管理には極めて高度
な技術力を必要とする。特に、少数での運営においては、フロントエンドやバ
ックエンドをはじめとした人員を揃えることが困難である。
しかし、フルスタックエンジニア(フロントエンドもバックエンドも対応で
き様々な言語対応可)が構成員にいるため、少人数でありながら様々な対応及
びサービスの開発が可能である点が貴社の強みであると考えられる。
(2)きめ細やかなサービス

また、大規模事業者とは異なり、中小企業ならではの個別の事情に応じた柔
軟できめ細やかなサービスを提供できていることも大きい。また、即応性につ
いても評価できると考えている。


(3)高い利用者の利便性
利用者とのコミュニケーションや決済の手段やUIを初めとして、真にユ
ーザーのことを考えたサービスを提供している点も大きいと考えられる。
14
第5章 シナジー効果
シナジー効果の概要は次の通りである。売上におけるシナジー効果、コスト
におけるシナジー効果、総合的なシナジー効果、ディスシナジー効果の順に示
していく。
(1)売上におけるシナジー効果
・ノウハウの共有
・クロスセリングの実施
(2)コストにおけるシナジー効果

・二重での様々な契約が一本化可能になることでコストが削減される
・人件費等の効率化
・拠点の集約
(3)総合的なシナジー効果
・顧客情報網の共有
・新事業分野(情報通信以外)への進出
(4)ディスシナジー
・経営者の流出等
15


第6章 アクションプラン策定
これまでの第5章までを考慮し、アクションプランを策定する。
競争優位性の確保においては、トレードオフは原理原則4であり、小規模事業
者であるため、いかに差別化を図るかを決定する必要がある。
そこで、SWOT分析5を行いつつ、とりわけ、「強み」と「機会」の重なる
分野へ重点的に資源を投入する必要がある。
表7で貴社のSWOT分析を示す。
表7
S(強み) W(弱み)
・高い技術力
・きめ細やかなサービス
・利用者の利便性の真の追求
・人員不足
・資金不足
O(機会) T(脅威)
・若者を中心(中年層にも浸透しつ
つある)とするSNS等の利用増加
イノベーションによる安価なインタ
ーネットサービスの利用が可能
・大企業の大規模サービス
・新規参入者

4 マイケル・ポーターも同趣旨の見解。
5 SWOT分析とは、自社を取巻く周辺環境を分析し、「好影響⇆悪影響」と「内部環境⇆
外部環境」n2軸で構成される。SWOTは、「強み(Strength)」、「弱み
(Weaknesses)」、「機会(Opportunities)」、「脅威(Threats)」の頭文字のことである。
16
上記を踏まえると、今後は次の5つのアクションプランをとることが最適で
あると考える。
1高い技術力を武器に安価ではあるが、AWS(クラウドプラットフォーム:
Amazon Web Services)等の高度なサービスを使いこなすこと(試験的なAI
ボット等の導入も要検討)
(技術により、大手事業者との料金等の面での差を縮めることができるた
め)
2顧客本位のためUIや決済手段に加え、万全な保守・管理体制を築くこと
(操作に詳しくない顧客においても直感的な操作性が求められるため。ま
た、安定的なサービスを提供するため)
3広告費は可能な限り削減することで安価な料金でサービス提供を実施
(大企業と同様な広告宣伝にかける資金はなく、また、それをしないことで
安価なサービス提供が可能になるため)
4若年層やベンチャー企業等を対象にすること
(そもそも、IT企業の経営者等は若く、ITに親しみをもつ層は若年層が
多いため)
5総合的なサービス面において特色あるものにし、革新的なサービスを提供す
ること
(既存の機能であっても、組み合わせることで新たなサービスが生まれるた
め)
17
おわりに
おわりにでは、第1章~第6章のまとめを行いたい。なお、資料に関しても
参照してほしい。
第1章
BDDの代表的な種類
表8
①マクロ環境分析
②競合構造分析
③事業構造分析
④スタンド・アーロン分析
⑤事業計画分析
第2章
PEST分析の概要
表9
18
P:政治 政府による情報通信産業への様々な後押し
E:経済 ・同感染症による経済状況の悪化
S:社会 ・ITが必要不可欠という意識
・SNS等インターネットに対して若者を中心に敏感に対

T:技術 ・スマートフォン/IOT/AI等によりビジネスも変化
第3章
表6再掲
表6
(情報通信・SNS等の分野におけるファイブ・フォース分析)
①買い手の交渉

サービス利用者は品質及び料金により選択を行
う。
②売り手の交渉

サーバー(クラウド)運用に関する高度な技術やそ
れを運用できるIT技術者の人件費が高騰してい
る。
③業界内の競争 大小様々な事業者が存在し、増加傾向にある。
19
④代替品の脅威 無料のサービスをはじめとした異なるビジネスモ
デルの事業者も存在している。
⑤新規参入の脅

新規参入は極めて多い。

 


第4章
重要な競合優位性がある要素は次の3点である。
1点目:高度な技術力
2点目:きめ細やかなサービス
3点目:高い利用者の利便性
第5章
シナジーには売上におけるシナジー効果、コストにおけるシナジー効果、総
合的なシナジー効果、ディスシナジー効果が存在する。
第6章
5つのアクションプラン
20
高い技術力で安価な価格を実現
UI/決済手段/安定的な運営
広告宣伝費は最小限に
若者・ベンチャー企業等を対象に
既存機能の組み合わせによる革新的なサービスの実現

ビジネス・デューデリジェンス

目次
はじめに
第1章 BDD(ビジネス・デューディリジェンス)につ
いて
第2章 マクロ環境分析
第3章 競合構造分析
第4章 事業構造分析
第5章 シナジー効果
第6章 アクションプラン策定
おわりに
資料
参考文献
3
はじめに
デューディリジェンスとは何かを示したうえで、今回の報告書で実施するビ
ジネス・デューディリジェンス(以下、「BDD」という。)の位置づけを示し
たい。
まず、デューディリジェンス(以下、「DD」という。)とは、「正当な注
意」といった意味であるが、M&Aにおいては「精査」といった意味である。
買い手にとってのDDの必要性とは、M&Aが企業戦略上の必要であるかを
見極めることである。また、DDの必要性に売り手と買い手の「情報の非対称
性」の解消もあげられる。
なお、M&Aにおいては、「顧客、技術、組織、を一から作り上げる時間を
買うこと」であるが、リスクも存在する。
次に、DDの種類を示す。
①BDD(対象会社の事業の将来性を見極めるためのビジネスDD)
⇒本報告書はこれにあたる。
②財務DD
③法務DD
④人事DD
⑤環境DD
⑥不動産DD
⑦ITDD
等があげられる。

4
第1章 BDD(ビジネス・デューディリジェンス)につ
いて
ビジネスDDでは、一般的に次の5項目(様々な項目があるが、代表的なも
の)があげられる。
表1
項目 内容
①マクロ環境
分析
・対象会社が重視している政治・経済・社会等の指標
等の分析
②競合構造分

・競合他社や代替品の状況、顧客との力関係などを
分析
③事業構造分

・競争力の源泉となっていると考えらえる項目を分

④スタンド・ア
ーロン分析
・親会社等に依存している機能を把握し、M&A
の追加コスト等の可能性を分析
⑤事業計画分

・事業計画の前提条件を把握し、上記の状況や経営
資源の制約等との整合性を分析
5
A社とB社とのM&A(以下、「当該M&A
という。)においては、親会社等は存在しないため、スタンド・アーロン分析
を除く、①~③及び⑤の項目を対象にする。
6
第2章 マクロ環境分析
マクロ環境分析においては、「PEST分析1」を行う。
最初に、P(Politics:政治的要因)について示したい。
政治的要因とは、法律、条令、規制等の行政レベルでの問題のことである。

表2(特に、IT分野に特に関連のある要素)

法令/規
制等
情報通信産業においては、DX等の推進をはじめとし
て、全面的な後押し
税制 法人税の引下げ
政治動向 菅政権によるデジタル庁設置(予定)
政治の潮

新自由主義的で規制緩和の傾向
補助・交
付金・特
区制度
中小企業等向けに、事業承継補助金経営資源引継ぎ補
助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等にお
いてIT化の推進


1 「政治」、「経済」、「社会」、「技術」の頭文字の4分野からマクロ環境をみるフレームワ
ークである。
7
2番目にE(経済的要因:Economy)について示したい。
表3

景気動向 新型コロナウイルス感染症(以下、「同感染症」という。)
による大幅な景気悪化から、大幅な反発を見せるも再度
感染症の流行により、景気の悪化
賃金動向 最低賃金は上昇傾向。ボーナス等は減少。
物価・消

・物価はほぼ横ばい(1%前後の上昇)
・消費は同感染症により冷え込んだものの、巣ごもり消
費により、情報通信分野においては消費増の傾向も
金利 超低金利。国の財政状況(国債等の利払い等)を考慮す
ると、金利の大幅な上昇は当面の間は想定しづらい
株価 日経平均株価はほぼ30年ぶりの高値。一方で、TOPIX
の上昇は鈍く、NT倍率(日経平均株価及びTOPIXの比
率)を見ると明らかである。
3番目にS(経済的要因:Society)について示したい。
表4

8
人口動態 超少子高齢社会
社会インフ

5Gの整備、SNS等の浸透(特に、若年層)
ライフスタ
イル
趣味嗜好の多様化により、SNSや動画サイト等の需要
の拡大
流行 インターネット発祥の言葉が流行語になることも多い
世帯 単身世帯の増加
未婚・既婚 未婚者の増加
なお、資料1及び2は、SNSに関する意識調査として重要なものであるた
め、参照してほしい。
4番目に T(技術的要因:Technology)について示したい。
表5
ビッグデー

様々な対象が分析可能になり、予測やマーケティング
での利用も
IOT等 モノのインターネット化により、さらに、情報社会が進

研究開発 官民一体となり、情報技術の開発が進んでいるが、日
9
本は米国よりも遅れがち
運用・保守
管理技術
GAFAM等のサービスにより様々な主体がITの活用
が以前よりも、安く、早く、容易に媒体の運用できるよ
うになった。
スマートフ
ォン等
多くの人がスマートフォンを持つようになり、好むと
好まざるに関わらず生活様式、ビジネス等が変化
10
第3章 競合構造分析
競合構造分析として一般的な分析手法である「ファイブ・フォース分析2」を
行う。
表6
(情報通信・SNS等の分野におけるファイブ・フォース分析)
①買い手の交渉

サービス利用者は品質及び料金により選択を行
う。
②売り手の交渉

サーバー(クラウド)運用に関する高度な技術やそ
れを運用できるIT技術者の人件費が高騰してい
る。
③業界内の競争 大小様々な事業者が存在し、増加傾向にある。
④代替品の脅威 無料のサービスをはじめとした異なるビジネスモ
デルの事業者も存在している。
⑤新規参入の脅

新規参入は極めて多い。
2 マイケル・ポーターのファイブ・フォース分析では、①買い手の交渉力②売り手の交渉
力③業界内の競争④新規参入者の脅威⑤代替品の脅威に分けて分析するフレームワーク
ある。
11
第2章ではマクロ環境分析を実施したが、情報革命により競争が大きく変容
した。これには、以下の3点が競争において重大な影響を及ぼしている。
①情報革命により業界構造・競合のルールが変化する。
②情報革命により、競合他社を追い越すための新たな手段を提供し、競争優位
が生まれる。
③情報革命により新しいビジネスが生み出されるが、既存業務の中から生まれ
ることが多い。


バリューチェーン3において、ITの役割が飛躍的に増加した。企業が想像す
る価値は、買い手が製品やサービスに支払おうとする金額により測定できる
が、企業が想像する価値が価値活動を実施するコストを上回れば、企業は利益
を得る。
では、ITにより、具体的にどのような変化がきるのかは次の通りである。
(1)コストダウン
(2)差別化の強化
(3)競争範囲の変化
である。それぞれについて示したい。
(1)コストダウン
AIをはじめとして自動化されることにより、トータルコストが低減してい
る。特に、AmazonGoogleMicrosoft 等のクラウドサーバーにより、物理的
3 バリューチェーンとは、企業が行う活動を、技術的あるいは経済的な特徴によって分類
したものである。バリューチェーンにおける各活動は「価値活動」という。
12
なサーバーを保有せずとも、インターネット上で媒体の運営が可能になった。
これにより、物理的サーバーを立てずとも安価にサーバーを利用できるた
め、小企業も活動できるようになった。
(2)差別化の強化
対応に必要とする時間やシステムの導は自社サービスを競合製品と差別化す
るうえで効果的な方法になっている。
AIをはじめとした、人の目を補完するシステムが重要になると思われる。


(3)競争範囲の変化
対象とする地域は全国や、理論上は地球規模になる。
とはいえ、現状を踏まえると、(言語上の問題から)日本国内に限定される
と思われる。

シナジー効果分析

資料等は以前の記事に書いています。

今回の事例は、情報通信を行っている小規模な企業に関するものです。

 

アブストラク

市場動向

 詳細なデータは資料編に譲るため、概要のみ示す。新型コロナウイルス感染症(以下、「同感染症」という。)の影響を考慮しない場合であっても、情報通信関連事業の業界自体は利益率が高い。同感染症を考慮すると、DX(デジタル・トランスフォーメーション)をはじめとして、IT化の推進の傾向はさらに強化されている。

 

各領域のKFS(勝ちパターン)

 

 媒体運営及び保守・管理に関しては、規模の利益が買収企業及び被買収企業が同業種であるため充分に働く。さらに、販管費の中で手数料がネックになっていたが、外部発注等の契約等の見通しにより、利益率が上昇すると考えられる。

 

業界プレイヤーの業績

 

 詳細なデータは資料編に譲るが、業績が好調である事業者が多い。大規模事業者から小規模事業者に至るまで多数の事業者が存在する。寡占状態ではないが、規模の利益が働くことで手数料や固定費等の削減が可能になる。

 

 総括

現在、高コスト体質であり、削減の目途が立っている。さらに、規模の利益も働くことによりさらにコスト削減効果があると考えられる。

 

2本編

 

1-1.シナジーの評価軸

 

 シナジーでは「実現可能性」及び「経済性」の2軸を用いて、優先順位付けをする。

実現可能性が高く、経済的効果も大きいシナジーは優先度が高い。一方で、実現可能性も経済的効果も少ないものは優先順位を落としてもよい。

下記表1を参照してもらいたい。

 

表1

      優先順位付け           高

 

優先度中

優先度

 

優先度低

 

優先度中

 実現可能性
     小  ←優先度→  大          ↓

                       低

 1-2.実現可能性の評価

 

実現可能性を評価するには、「合意形成」と「リスク等」を評価する必要がある。

 

(1)合意形成

 

 買収企業においては、人員・組織面での合意形成は不要である(なぜならば、そもそも社員がいないため)が、様々なステークホルダー(顧客や取引先等)との交渉や合意が必要である。

 

(2)リスク等

 

 シナジー施策を実施する際に様々なリスクが存在する。また、シナジーの創出においては、モノ・カネが一番シナジー創出の難易度が低く、次いで情報であり、一番難易度が高いのが、ヒトに関連するものである(前述の通り、これは無考慮の必要がない)。

次に、情報に関連するシナジー関しては、形式知暗黙知かにより活用のしやすさが異なる。形式知であれば、データベース化されている場合活用しやすい。しかし、技術や営業ノウハウ等は、ブラックボックス化されている。

最後に、「モノ」と「カネ」に関するシナジーについては、実態のある資産を活用するため、シナジー創出は定量的で、かつ、実現可能性も予測しやすい。

 

 1-3. 経済性の評価

 

シナジーには様々な種類がある。具体的には、売上シナジー、コストシナジー、ディスシナジーである。

売上シナジーは、クロスセルなどの実施により、売上成長を見込むものである。

コストシナジーは、重複する業務の効率化により、コスト削減を見込むものである。

ディスシナジーは、M&A取引による追加投資や人材や顧客流出などの企業価値を既存させるシナジーである。

 

 

第2章事業構造レビュー

 

 IT業界においては、従来型の産業とは異なり、少人数(フリーランス等を含めると1名のみでも)でサービスを作り上げることが可能になってきた。大規模プロジェクト等の受注ではなく、買収企業・被買収企業が対象とする小規模プロジェクトや小規模サービス(以下、「小規模サービス等」という。)の需要も大きい。

 また、価値観の変容により、若者等を中心にSNS等でのつながりからリアルな人間関係への推移も多くなっている[1]

 上記を踏まえると、小規模サービス等と大規模事業者の展開するサービスは必ずしも競合関係にあるとはいえない。さらに、同様のサービスであっても、独自性をだすことや自社サーバー等の保有等の固定費が抑えられ、きめ細やかなサービスを展開することで差別化を図ることが可能である。

 マクロ環境を知ることが重要であるといえ、マクロ環境のフレームワークである、PEST分析を行う。なお、PESTとは、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字からなる。

 

表2

政治

・情報社会の推進

・Withコロナ、Afterコロナ時代においてもオンラインサービスの需要は増加傾向

・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

経済

・ITの利活用による生産性の向上

・IT人材の供給不足により、IT人材の奪いあい

・ITが他分野との融合(例えば、金融等)への広がり

社会

SNSの広がり

・人間関係の考え方の変容

・人間関係の希薄化

技術

・AI

・5G

クラウドの安価な利用

・仮想通貨(暗号資産)

 

 

このような分析を踏まえると、情報通信分野における保守・管理及び媒体運営事業の需要は増加し続け、コロナ時代にあってはかえって追い風にあるとすらいえる。さらに、Afterコロナにおいても、オンライン上でのサービスで一定程度のことが可能になるため、この需要の増加傾向は継続すると思われる。

 

 

 

第3章プロジェクションと経済性レビュー

 

第2章では、2-1.でシナジー効果を、2-2.でROAによる経済性の判断を実施する。

 

3-1.シナジー効果

 

〇売上におけるシナジー効果

・ノウハウの共有

・クロスセリングの実施

 

〇コストにおけるシナジー効果

 

・二重での様々な契約が一本化可能になることでコストが削減される(00.000,000円程度の削減)

 

・人件費等の効率化

(0,000,000円程度の削減)

 

・拠点の集約

 

〇総合的なシナジー効果

・顧客情報網の共有

・新事業分野(情報通信以外)への進出

 

 

〇ディスシナジー

・経営者の流出等

 

 

3-2.ROAによる経済性判断

 

ROAに関しては、添付資料編の添付-1を参照してほしい。重複するが、被買収企業は、このROAが次の通りである。根拠となる当期純損益及び総資産の数値については添付資料編を参照してほしい。

 

ROA総資産利益率)=当期純損益/総資産

●●●●●●/●●●●●●=13.8%

 

なお、日本の上場企業のROAは10%程度[2]である。しかしながら、これには3つの特殊要因を考慮する必要がある。

 

(1)補助金がカウントされていること

 

(2)情報通信以外での臨時の収益(△00,000円程度)がること

 

(3)確実に実施できる経費削減を考慮する場合(ア)と考慮しない場合(イ)の2点を考慮すること

 

これらをふまえると、(ア)においてはマイナスになる。しかし、社内調査により、確実に実施できる経費削減の実施までを踏まえると、(1)及び

(2)に関しては相殺可能であることが判明した。

 

 

第4章今後の方向性についてー持続的競争優位の確保に向けてー

 

 買収企業及び被買収企業共に、売上に関して増加傾向にある。しかしながら、経費も増加傾向にある。とはいえ、ベンチャー企業にとってはやむを得ない。

そこで、如何に経費の伸びを企業努力により圧縮して、売上を持続的に増加させるかが焦点になる。

上記を踏まえ、買収企業及び被買収企業のSWOT分析を実施する。

 

表3

強み

弱み

・優秀な人材

・ノウハウ

・財務基盤

・高コスト体質

機会

脅威

・決済サービスやクラウドコンピューティングサービス等の価格の低下

新型コロナウイルス感染症によるオンラインサービスの需要増加

・大規模事業者

 

 表2を踏まえると、今後の方向性は次のようになる。

 

 まず、優秀な人材やノウハウという強みがあり、決済サービスやクラウドコンピューティングサービス(AWSGCPMicrosoft Azure[3]等)の価格低下により、コストが小規模な事業者であっても可能になることを踏まえると必然的にコストが減少し、その結果として、利益が増加することになる。

 また、クラウドコンピューティングサービスを使いこなすには高度なノウハウ、知識等が必要であるが、買収企業にはこの高度なクラウドコンピューティングサービスを使いこなすことができるため、大きな強みである。

 また、決済サービスも多様化しており、暗号資産(仮想通貨)決済等の導入等も考慮することで利便性を向上させることができよう。

 これらの努力により、高コスト体質は改善する。さらに、財務基盤も当然ながら強固になる。

 

 

まとめ

 

 

‣外部環境は良好

‣新たなクラウドコンピューティングサービスの導入により、経費削減を

‣特殊要因があるが、相殺可能

シナジー効果を最大限いかすためには、売上とコストのシナジー効果を意識

シナジー効果を最大限活かすことで、様々な変化に対応可能

 

 

[1] 株式会社パートナーエージェント(証券コード6181)の調査結果(https://chosa.itmedia.co.jp/categories/marketing/95568)参照。

[2]経済産業省経済産業政策局産業資金課 事務局説明資料 https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sustainable_kigyo/pdf/001_05_00.pdf参照。)

[3] AWSとは、Amazonが運営する、Amazon Web Servicesのことである。GCPとは、Google(Alphabet)が運営する、Google Cloud Platformのことである。Microsoft AzureはMicrosoftが運営している。いずれも、クラウドコンピューティングシステムの中で、最先端であるため、高度な知識・能力が必要である。

 

 

 

企業価値算定手続きについて

1用語整理

  • フリー・キャッシュ・フロー(FCF)=企業の営業・投資活動が生み出した税引き後のキャッシュフローである。したがって、FCFは企業の財務活動や資本の調達方法には影響を受けない。
  • DCF法=ディスカウント・キャッシュフロー法(今回利用する手法)
  • EBITA=支払利息・のれんの償却費等営業外損益前利益
  • NOPLAT=EBITA-税金
  • FCF=NOPLAT-純投資額=(NOPLAT+減価償却費)-総投資額
  • バリュー・ドライバー=どのような要因により企業の価値が影響を受けているか?
  • 具体的に言えば・・・売上・利益・投下資産額等にかかる成長率と事業に投下した資産がどの程度の収益率を上げるかという2要素がある。
  • ROIC=後者(投下した資産がどの程度収益率をあげるか)
  • ROIC=NOPLAT/投下資産

2そもそも企業価値とは何か

  • 経営や財務の用語としての企業価値は、株主にとっての投資価値の話であってそれ以外の利害関係者にとっての利用価値の話ではない」
  • しかし、上場企業ではない、中小企業のM&A市場の場合は、類似企業を比較するものやDCF法が代表的である。
  • 世界的な投資家である、ウォーレン・バフェット氏も「企業が生み出すキャッシュ・フロー」が企業価値であると指摘している。

3事例研究

  • 被買収企業は主たる事業は情報通信業に当たる。従たる事業として各種イベント等の事業も行っている。
  • 収益のほとんどが情報通信業によるものであるため、情報通信業の分析を行い、情報通信事業を主たる評価対象にする。
  • サーバー構築や監視、保守・点検や媒体の運営等による手数料が収益源である。
  • 被買収企業は、新型コロナウイルス感染症のため、広告費等の削減や費用の増大等から経営状況はさらに悪化すると判断した。
  • 現在、債務超過に陥っているが、経費削減により収益化は十分可能

 

企業価値はいくらか

 

前提:売上1,300,000円で経費650,000円

 

利益は・・・

1,300,000-650,00

0=650,000円

となる。

3年分のFCFは、650,000×3=1,950,000円

 

  • 3年分のFCFである1,950,000円を割引率で割ると、現在価値が算出できる。
  • 割引率が6%で3年分を割り戻すと・・・

現在価値は、3年間のFCF額で計算すると次のようになる※

 

  • 1/(1+r)+1/(1+r)^2+1/(1+r)^3・・・という式を用いる。
  • 3年分の割引率の計算である。また、r=6%と仮定した。
  • 具体的に計算すると・・・
  • 1/1+0.06≒0.94である。よって、
  • 0.94×650,000≒611,000円程度
  • 1/(1+0.06)×(1+0.06)≒0.89である。よって、0.89×650,000=578,500円程度
  • 1 /(1+0.06)×(1+0.06)×(1+0.06)≒0.84

よって、0.84×650,000=546,000円程度
したがって、
611,000+578,500+546,000=1,735,500円という計算になる。

 

5補足

 

  • 割引率は一般的なM&Aで用いられる割引率である6%を用いた。
  • 事業価値がFCFの3年分とする根拠は、中小零細企業M&Aにおいて最も一般的な数値であるためである。

 

 

 

 

企業価値算定手続きについて

1用語整理

  • フリー・キャッシュ・フロー(FCF)=企業の営業・投資活動が生み出した税引き後のキャッシュフローである。したがって、FCFは企業の財務活動や資本の調達方法には影響を受けない。
  • DCF法=ディスカウント・キャッシュフロー法(今回利用する手法)
  • EBITA=支払利息・のれんの償却費等営業外損益前利益
  • NOPLAT=EBITA-税金
  • FCF=NOPLAT-純投資額=(NOPLAT+減価償却費)-総投資額
  • バリュー・ドライバー=どのような要因により企業の価値が影響を受けているか?
  • 具体的に言えば・・・売上・利益・投下資産額等にかかる成長率と事業に投下した資産がどの程度の収益率を上げるかという2要素がある。
  • ROIC=後者(投下した資産がどの程度収益率をあげるか)
  • ROIC=NOPLAT/投下資産

2そもそも企業価値とは何か

  • 経営や財務の用語としての企業価値は、株主にとっての投資価値の話であってそれ以外の利害関係者にとっての利用価値の話ではない」
  • しかし、上場企業ではない、中小企業のM&A市場の場合は、類似企業を比較するものやDCF法が代表的である。
  • 世界的な投資家である、ウォーレン・バフェット氏も「企業が生み出すキャッシュ・フロー」が企業価値であると指摘している。

3事例研究

  • 被買収企業は主たる事業は情報通信業に当たる。従たる事業として各種イベント等の事業も行っている。
  • 収益のほとんどが情報通信業によるものであるため、情報通信業の分析を行い、情報通信事業を主たる評価対象にする。
  • サーバー構築や監視、保守・点検や媒体の運営等による手数料が収益源である。
  • 被買収企業は、新型コロナウイルス感染症のため、広告費等の削減や費用の増大等から経営状況はさらに悪化すると判断した。
  • 現在、債務超過に陥っているが、経費削減により収益化は十分可能

 

企業価値はいくらか

 

前提:売上1,300,000円で経費650,000円

 

利益は・・・

1,300,000-650,00

0=650,000円

となる。

3年分のFCFは、650,000×3=1,950,000円

 

  • 3年分のFCFである1,950,000円を割引率で割ると、現在価値が算出できる。
  • 割引率が6%で3年分を割り戻すと・・・

現在価値は、3年間のFCF額で計算すると次のようになる※

 

  • 1/(1+r)+1/(1+r)^2+1/(1+r)^3・・・という式を用いる。
  • 3年分の割引率の計算である。また、r=6%と仮定した。
  • 具体的に計算すると・・・
  • 1/1+0.06≒0.94である。よって、
  • 0.94×650,000≒611,000円程度
  • 1/(1+0.06)×(1+0.06)≒0.89である。よって、0.89×650,000=578,500円程度
  • 1 /(1+0.06)×(1+0.06)×(1+0.06)≒0.84

よって、0.84×650,000=546,000円程度
したがって、
611,000+578,500+546,000=1,735,500円という計算になる。

 

5補足

 

  • 割引率は一般的なM&Aで用いられる割引率である6%を用いた。
  • 事業価値がFCFの3年分とする根拠は、中小零細企業M&Aにおいて最も一般的な数値であるためである。